ずっとずっとずっと


スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
沼地のある森を抜けて/梨木香歩
始まりは「ぬか床」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を伝える書下ろし長篇。

ちょっと↑の作品紹介じゃあんまりなので。
叔母が亡くなったことにより、先祖代々伝わる家宝の「ぬか床」を受け取った久美。持て余しつつもぬか床の世話(?)を続けていたら、ある日突然青い卵があるのを見つける。その卵から生まれてきたのは幼馴染によく似た男の子で、そして・・・。次々と生まれる疑問の答えを求めて、物語の舞台は久美の祖先の住む島へと移っていく。・・・と、いった感じ。

前半部分の雰囲気は、すごく好きでした。ぬか床と久美の共同生活。思わず夜中に読むのをやめてしまったほど、雰囲気がありました。ここで書かれているのは特殊なぬか床だけれど、確かに「先祖代々伝わるぬか床」って考えると怖いですよね。何代もの人が、休むことなく、毎日毎日手を入れていたんだから。
フリオの話、カッサンドラの話、叔母の日記、あたりまでは楽しく読むことができた、んですけど。途中で挿入される謎のファンタジーが登場したあたりで、「?」が浮かんできて。このあたりから、私は置いてけぼりにされた気分。生命の起源は、まあいいとして。「孤独」が理由だなんて、ロマンチックで、素敵な理由だと思いますよ。風野さんと久美が持つ、それぞれのジェンダー論も、この本で書かれる命のものがたりも、まあいいんです。納得できるかはともかく、おぼろげながら理解はできたから。でもなんだか、妙な違和感がつきまとうというか。読んでいて始終もやもやしていました。

たぶんこの話は、とても女性的なものなんだと思います。命のものがたりだからある程度は仕方がないのかもしれないけれど。我侭を言うようですが、個人的には、最初から最後までとことんファンタジーで貫き通してほしかったです。ファンタジーから物語にはいったのに(いやもちろん途中も十分ファンタジー要素てんこもりなんですけど)生命に関する理論とか、現実的な考えが並べられて、そこで私は混乱したのかもしれません。違和感の正体ってこれなのかなあ・・・。
まあとにかく、どこか消化不良でした。手に余る、というか。
時間をおいて再読するべきかも?
| な行(梨木香歩) | 17:06 | - | - |
 1/1