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手紙/東野圭吾
武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。

この小説のテーマは、犯罪加害者の家族に対する差別問題です。主人公・直貴は何もしていないのに、兄が犯罪者だという理由で周りから迫害され、進学も恋愛も就職も思うようにいきません。直貴はそれでもひたむきに、精一杯生きていこうとします。

と、こういう設定だけでもすでに泣けそうな気配が漂っています。ああ直貴がかわいそう、あんなに頑張っているのに・・・と当然読者は思うわけですが、そんなときに文中で「君が今受けている苦難もひっくるめて、君のお兄さんが犯した罪の刑なんだ」「我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば、家族をも苦しめる事になる−すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」という言葉が出てきます。そこでがつんとやられるわけです。感情論だけではだめなんです。社会ってこんなもんだよな、ってちょっと我に返る部分でもあります。
こんな重いテーマを扱っているわりには、この本はとても読みやすいです。次から次へと襲い掛かってくる困難、テンポ良くすすむストーリーにあっという間にひきこまれると思います。読んで損はない本だとは思うので、ぜひ読んでもらいたいです。

さて、ここから先は既読の方だけどうぞ。
とってもいい本だとは思うんですけど、私はまったく泣けませんでした。とにかく、うまいなあって思ってしまうというか。こうなるんだろうな〜という予想のまま、直貴がどんどん不幸になっていき、読者はそれにつられてひきこまれていきます。さらに、兄の設定もまた良い。極悪な兄ならまだしも、兄・剛志は弟のためを思って犯罪を起こし、刑務所に入った後も弟の心配だけをひたすらしていて、憎めないんですよ。呑気さとか空気の読めなさにいらっとくることもありますが、それはもう物語に入り込んでいる証拠ですよね。あまりにもベタすぎる展開で、だからこそ目を離せなくなってしまう。面白かったけど、私は周りが言うような「感動!涙が止まらない!」という感想はまったく抱けませんでした。

でも、本当に設定は素晴らしいと思います。この本を読んで、「あー感動したなあ」って感想だけでは、終わらせたくないな。
| は行(東野圭吾) | 22:33 | - | - |
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